Point of No-Return

バイクが趣味なおっさんのブログ

泡沫の夢(青岛啤酒の夜)

9月ももうすぐ終わりですね。
赴任年の9月、私は何してたんでしょうか?

青島ビール
聞いたことがあるのではないでしょうか?中国では有名なビールです。
キャッチフレーズは「中国的 世界的」(中国の 世界の:世界基準!みたいな感じ?)

そうそう、世界(shijie:しぃじぃぇ)という言葉なんですが、
一般的中国人には「中国全土」を意味してるようです。日本でいう「全国」。
ほな、日本語で言う「世界」は?と言いますと「全球(quanqiu:ちゅえんちょぅ)」

まぁ中国は清の時代に欧米列強の影響と腐敗政治でほぼ崩壊し、
英仏中心に好き勝手やられていたわけです。(上海とかの沿海部を中心に)
アヘン戦争とか有名ですよね。この当時のイギリスは酷かったですものね。
インドやアジアを蹂躙しまくっていて、あわよくば日本も標的にしてた。
アヘン戦争時の英国の略奪・虐殺・暴行事件は現在、何もなかったような扱いですが、
結構、イギリスを嫌う中国人民は多いです。
(日本統治下を良くいう人もいるんですよ。実際は。)

まぁなので、欧州文化は入って来てるので、ビールの歴史もそこそこあり。
イギリスの傍若無人さを横目で見て、指を咥えていたのがドイツです。

日本はちょうど、幕末から明治に変わり、欧米列強から日本をアジアを守ろうという
漢気を持っていたはずなんですが、日露・日清戦争と調子こいてしまっていた時代。

山東省(shandon:しゃんどん)にある青岛市(qingdao:ちんだお)はドイツが
日清戦争で負けた中国の肩をもってフランスとロシアと一緒になって日本に難癖をつけ、
戦勝国の日本が下関条約で割譲されることになっていた遼東半島を返還させたのです。

それを恩にきさせて、ドイツ人宣教師が中国人に殺害されたことをきっかけに
青島周辺を租借地として借受け、ドイツ東洋艦隊の極東基地をこの地に作ったのでした。
当然、ドイツ人なのでビールも作りますよね。それが青島ビールのルーツです。

ドイツってね、結構やばい国なんですよ。ヒトラーだけでなく。
いまだEUでロシアや中国制裁に踏み切れないのは、中国での商売を手放したくないから。
私が1年目に住んでたアパートにもMercedes Benzの駐在家族が一杯いました。
(日本人は少なかったけどね)

16年9月にその青島まで出張で行きました。
地図だと北京から近いようですが、直線距離で550kmほどありますので空路で出張です。

中国ではビジネス出張ですと、もれなく取引先からの夕食ご招待があります。
海に近い街ですので、海鮮料理です。
レストランの玄関入れば、まずはスーパーか?と思うくらい所狭しと食材が並んでます。
ここで、今日食べる食材を選ぶんですよ。小売りしてるわけではありません。
「何故?」・・・はい、そう思いますね。

Because of(因为:yinweiいんうぇい)…
「うちの扱う食材は、めっちゃ新鮮ですよ!安心して食ってね!」という、
レストラン側からのアピールなんです。
(つまり料理する前の状態を見せないと、腐った食材を使っていると疑われるので)
ホスト側もゲストをこういう店に連れて行き、安心させるのです。
(まぁ、料理するとこまで見ないけどね。笑)

「これでもか!」っていうくらいの量の「鮑の炒め物」…
円卓なのでこんな料理が、一杯出てきます。食いきれない。
つーか、食材が新鮮なんだから、コテコテの味付けしないでもいいのに…

さて飲み物は?と言いますと、飲み物はホストが樽で「持ち込み」です。
それも「今日のために青島ビールの第三工場から買い付けて来た!」と胸を張る。

そう、飲食店のビールは「本物かどうか」分からないから…
(実際、容器と中身が違う事件が一杯あるのです。)
向こうの日本料理屋でビール飲んで、「あれ?味が違うぞ」は数回ありました。
ワインなんかはほとんど輸入なので、気をつけないと合成ワイン?が出てきます。
中国ブランドのワインは控えるべきです。

加えて、青島ビールでも製造工場により品質が違うみたいです。
缶ビール用とか、瓶詰め用とかで工場は異なるようで、
(工場名は記憶が曖昧ですが)第三工場のビールこそが、
「真的青岛啤酒:zhendeqingdaopijiu(じぇんだちんだおぴぃじょぅ)」
=本物の青島ビールなんだそうですわ。

これがね、濃い濁った琥珀色で、ちょっとドロっとしながらも、爽やかな苦味と甘味で
「実に美味い!」
20名くらいの宴会でしたが、お開きの時には四つの樽が空っぽになっていました。

濃ゆい味付けの料理ばっかりなので、余計にビールが進んだのかな?
ちなみに、缶ビールの青島ビールはこんな感じ。
なんか、色も薄いよね。北京のスーパーで買うと、ひと缶3〜4元だったかな?
(まぁ50円くらいですわ。日本の酒税が高すぎるんですね。)

缶を見るとブランド表記は「TSINGTAO」になってますね。
多分、ドイツ人が中国語の青島qingdaoの発音を聞いてローマ字表記したんでしょう。

ちなみに「中国人は冷たいビールは飲まない」という定説ですが、昔話です。
アサヒやキリンは向こうでも大人気になっておりまして、冷たい生ビールを
飲んでる人も多数います。
但し、今回のように中華料理を皆で食べるような場合は、冷やしていません。
なぜか?

冷たいと、胃に負担がかかり、料理もビールも「量が食べられ・飲めない」からです。
夏は暑いですが、9月に入ると一気に涼しくなる中国の気候風土も影響してるでしょう。
私も中国人との会食では外気温?のビールを飲んで美味しいと感じるようになりました。